此処はエンドブレイカー!(TW3)に於けるキャラクター、サギリ・スカーレット(c09180)のブログです。
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※アンオフィ万歳!アンオフィ万歳!
アンオフィが嫌いな人は今すぐゴーホ-ムしましょう。
というかアンオフィ嫌いな人はこのブログ見ないほうが良いかと。
『何と奇妙な』
―――何故、僕だけが違うのですか。
『気味が悪い』
―――何故、僕だけがおかしいのですか。
『まるで物怪』
―――何故、僕だけをそのような目で見るのですか。
『お可哀想に』
―――何故、僕だけが愛されないのですか。
『捨ててしまえ!我が家の子が出来損ないなど、世に知れたらどうなる事か。』
『殺しても構わん!不要、不要だ!母親諸共、棄ててしまえ!』
―――何故、父は僕にあのような恐ろしい事をするのですか。
『嗚呼…、嫌われてしまった…!あの御方に嫌われてしまった…!…そう…、あの子さえ、あの子さえ産まれてこなければ…!』
『…憎い!憎い憎い!あの化け物が憎い!』
―――何故、母は僕をあのような恐ろしい目で見るのですか。
―――何故、何故、
少年の問い掛けに応える者は居なかった。
それでも、少年は飽く事無く――否、飽いていても諦めきれずに、問い続けた。
そして、いつか少年は答えを知った。
知らなければ良かったのに。
知ってしまった。
『…あの目、見た?色がおかしいし、何より人の物では無いわ』
『きっと物怪が憑いたのだわ』
―――目…?
…僕の目、…物怪、が?
…どうして。少し色が違うだけなのに。
何故それだけで出来損ないと、呼ばれなければならなかったのですか。
それだけなのに。
―――では、塞げば。
この目さえ無ければ愛してくれますか。僕を。
僕は、普通の人間になれますか。
ねえ、
答えて下さい。
誰でも良い。
答えて。
答えて。
どうか。
何故、誰も答えて下さらないのですか。
僕には問い掛ける事すらも許されないと言うのですか。
何故。
少年は絶望した。
「……僕だって、僕だって好きで産まれてきたんじゃない…!」
「…こんな、…こんな想いをするくらいなら、産まれてこなければ良かった!」
しかし、その叫びは誰にも届く事は無いのだ。
そのような事は始めから知っていた。
それでも、叫ばずには、恨まずにはいられなかった。
「―――みんな嫌い。父も母も、…人間全て。みんな嫌い。大嫌い。」
「それでも、僕は現世を嫌いにはなりたくない。
明るい光に満ち、動物が駆け、水が流れ、風が吹く美しい光景がどうしようもなく好きなんだ。
…けれども、どうしても、浮世は汚れきっているから―――」
―――だから、僕は目を閉じよう。
何も見なくて良いように。
これ以上穢れた世を見る事が無いように。
ほんの少し、ほんの少しだけ心の最奥に残されたこの世界への“一抹の希望”、
それだけを目蓋の奥に封じ、
それだけを見て生きていけるように。
***
…突然、何の知らせもなく連れて行かれた山寺。
幾数人の僧。
理由など少年自身がよく分かっていた。
とうとう捨てられたのだ。自分は。
とうの昔に覚悟していた事、と俯き呟く。
己に言い聞かせるように。
ある雨の夜、
少年は寺を抜け出した。
久方振りに感じる寺の外の空気は、雨に煙りよくは分からなかった。
それでも、己は自由の身となったのだと、そう考えるだけで、この空気すら一気に清浄なものに感じられた。
少年は歩く。
闇の中を。
しかし、夜闇など、目を閉じている少年にとっては全く関係無い。
―――いつだって、僕は闇の中だった。けれども、きっとこれからは、光の下を歩いて行こう。
少年の足取りには、迷いが見られなかった。
道は、雨が教えてくれる。
雨の滴が木々や地面に衝突する音で、道を判断し、歩き続けた。
気が遠くなるような時間。重くなる足。冷たくなっていく身体。
それでも、少年の頬には希望に満ちた微笑が浮かんでいた。
―――どれ程歩いた事だろう。
気付くと、見知らぬ場所。
どうやら、どこかの小屋か民家か。布団の上に寝かされているらしい。
横には、一つの、優しげな気配。
***
目を閉じ続けた少年は絶望の末孤独に成長し、数々の出逢いと別れを繰り返し、青年となった。
途中、彼は掛け替えの無いものを得た。
そしてそれと同じだけ、若しくはそれ以上の苦しみを背負ったまま、今、再び掛け替えの無いものを得ようとしている。
周囲には好ましい喧騒、幸福な空間。
己の好いた光に満ち満ちた光景が広がっているに違いない。
―――果たして、既に、彼の瞳はあれだけ愛した光を拒み始めていた。
遅すぎたのだ。何もかもが。
日の下においては、彼の瞳は光を受け付けず、本来の働きを為さぬ。
見とうないと塞いだ目は、見たいと思っても見られなくなってしまったのだ。
…ただし、夜は違った。
あれ程忌み嫌った金色の瞳が煌々と輝く夜こそ、彼の目は物を映す。
―――何と皮肉な事か。
瞳を見られたくは無いと目を塞ぎ続けた結果、
その瞳が最も目立つ闇の中でしか彼の目は“開かぬ”。
…青年はまたしても絶望した。
ゆえに、彼は昼を好まない。あれ程好きだったにも関わらず。
―――否、好きであるからこそ、昼を好まぬのだ。
どれ程見たくとも光は映らぬ事を呪ってしまう、ゆえに昼を嫌う。
哀しいかな、この青年は苦しみを分かち合う術を持たぬ。
…これからも、未来永劫、孤独に苦しみに喘ぐのか。
そればかりは、エンドブレイカーでも、知る由はない。
※飽きた。
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